シロアリ : 2008.10.12 Sunday
連休の中日。
ラボの定期清掃も重なって、久しぶりに誰もいません。
実験をすこしして、いくつかメールでの連絡を発送したので、僕も今日はもう帰ろうかな。

私たちの研究室のメインの材料にシロアリがいます。
現在主に使っているのがオオシロアリという、1cm近くある巨大なシロアリ。
屋久島の放棄された二次林で採集してきます。
この他に、丹沢で採集するヤマトシロアリ、西表で採集するコウシュンシロアリが時々仲間入りをします。

一般的に生物学の研究は、遺伝的にほぼ均一な状態に育種された「モデル生物」を使うのが王道ですが、環境サンプルをターゲットにする僕らは材料は自分たちで自然の中に取りに行かなくてはいけません。
僕たちのフィールドは、丹沢、屋久島、西表島と、他の研究者にはちょっとうらやましがられるような場所なのですが、サンプリングは当然遊びではないので、サンプリング出張中は基本的に、湿度100%の森の中で泥だらけになってはいずり回ることになります。
しかし、この経験は必ずしも辛いものではなくて、実際にシロアリだけではなく、いろいろなわけのわからない(失礼!)生き物たちが倒木にとりついて、または土の中で密やかに息づいているのを見ると、いろいろな研究のアイディアがわいてきます。実際、森から切り取ってきたシロアリの営巣木+土でさえ、シロアリだけでなく、実に様々な生き物が共存していて、シロアリを取り出すときに見ているとうっかり時間を忘れてしまいます(<駄目)。

シロアリは、腸の中に原生生物・バクテリア・古細菌を持っていて、それぞれがセルロース分解・窒素固定/還元力除去・メタン生成のような機能をもって唯一のインプットである木質バイオマスを利用するひとつのシステムを構築しています。
つまり、シロアリ自身が、沢山の種類の生物の集合体としてひとつの機能を発揮している生態系=ミクロのフィールドということも出来ると思います。

シロアリの研究は、バイオマス利用として最近注目して頂いていますが、実はそういった生態系という今はまだ茫漠とした生物の海を科学の言葉で記述する試みの第一歩を刻むための、「モデル生態系」研究としても非常に重要だと考えています。

フィールドで思いつくアイディアは、もちろんその全てを実行出来るわけはないのですが、全ての生物活動は、森の中で、海の中で、フィールドで、たっくさんの生き物が絡み合ったネットワークとして行われているわけで、ひとつだけの生き物を切り離した生物学の先に、別の生物系科学としてそういう様態をハンドリングする新しい科学があるのではないかなと夢想しています。

そんなわけで、ぼくはフィールドでの瞑想(?)を大切にしたくて、プライベートでも有給休暇が取れるととりあえず西表島に飛んでいってしまいます。(<駄目2)

シロアリの共生原生生物の動画はこちらからどうぞ
http://www.riken.jp/bob/info.html

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